相続専門不動産会社の作り方

不動産会社で独立開業しようとするときに考えることは、「売買仲介をする」とか、「賃貸仲介をする」という程度からスタートすることがほとんどだと思います。

ですが、単に売買仲介をするとか、賃貸仲介をするという方法では、なかなか経営的に難しいという側面も出てきます。

なぜなら、売買だろうと、賃貸だろうと、不動産仲介業は既にライバル企業が多数存在するため、集客そのものにお金がかかる業界だからです。

また、SUUMOやホームズなどの集客のためのポータルサイトが強すぎて、これらのサイトを運営する企業にどんどん利益を持っていかれるという状況でもあります。

このように、不動産業界で起業をしたものの、従来型の単純な仲介業で戦うにはリスクが大きくなっているため、単純に「仲介業」での独立としない例も出てきています。

その例としてあげられるものが、「相続専門の不動産会社」とする開業の方法です。

会社を「相続専門」とすることにより、相続をきっかけとして、不動産の売却等を考える方には、単純に売買仲介業、賃貸仲介業としている不動産会社よりも、圧倒的に目立ちますので、集客には有利になりますし、集客のためにポータルサイトに頼る必要がない状況も可能になります。

ちなみに、相続専門の不動産会社というと、相続以外のお客様は全員取りこぼすのではないかと心配になるかもしれませんが、そういうことはなく、相続業務をメインとしながらも、売買仲介業や賃貸仲介業をやっても問題はないのです。

ちなみに、相続専門の不動産会社として開業しても、開業当初は見込客を集めるだけで、案件化もなかなかしないことが多いはずですから、相続のお客様が案件化するまでの時期は、「売買仲介」や「賃貸仲介」を行って売上を立てながら、相続に関する見込客を集め続けるという手法が良いと思います。

そして、徐々に相続のお客様が案件化し、相続のお客様から安定的に売上が上がるようになれば、ポータルサイトを使用した集客のような「仲介業」は中止にしても問題はなくなると思います。

このように、いいことしかないようにも思える「相続専門の不動産会社」ですが、始めるには高いハードルがあります。

どのようなハードルかといいますと、業務自体が「難しい」ということです。

何が難しいというと、次のようなことがあげられます。

①相続の知識が難しい。
②幅広い不動産の知識が必要になることが難しい。
③税金の知識が難しい。

①相続の知識が難しいについて

まず難しいことの一つ目ですが、相続の知識を身につけること自体が難しいということになります。
相続の知識については、宅建試験の際に民法で少しだけ勉強したかもしれません。
ですが、当然のことながら、宅建試験レベルの知識では、実際の実務で役に立つはずがありません。
したがって、一から相続に関する知識を学ぶ必要があります。

②幅広い不動産の知識が必要になることが難しいについて

不動産業の開業者は、サラリーマン時代に不動産業界で営業担当者をやっていた方が多いのですが、多くの方は「売買仲介」や「賃貸仲介」、あるいは「仕入営業」などに専門特化して仕事をしていた人が多いです。
そのため、自身がサラリーマン時代に専門としていた仕事以外の仕事については、ほとんど知らないという方も多いです。
これが、相続による相談を受けるようになると、どのように不動産を活用していくことがベストなのかについての視点が必要になるため、相続に関する知識以外にも「売買の知識」「賃貸の知識」「開発の知識」「建築の知識」等の幅広い知識が求められるようになります。
そのため、不動産分野でも更なる勉強が必要になるでしょう。

③税金の知識が難しいについて

相続は、「相続税の納税」をしなければならないという理由で、お客様が動くということも多いです。
そのため、相続専門の不動産会社になるには、税金の知識がとても重要になります。
これが、単なる売買仲介であれば、税金の件については、税務署か税理士に問い合わせて欲しいとお客様にご案内をすれば問題はありませんが、相続専門とするからには、税金に関する知識もしっかりと持っておく必要があります。
なお、税金については、法改正が毎年のようにあるため、常に最新の情報が求められるという点にも注意が必要です。

以上のように、集客面でもメリットが多い相続専門の不動産会社ですが、始めるにはそれなりに高いハードルがあります。

ですが、ハードルが高いからこそ、誰でもできるものではないということになりますし、しっかりとした知識を身につけられれば、地域で目立てるということになります。

なお、相続専門の不動産会社とするには、宅地建物取引士以外にも、相続に関連する資格の一つや二つは持っておいた方が良いかもしれません。

具体的には、次のような資格があげられます。

①不動産コンサルティングマスター
②行政書士

①不動産コンサルティングマスターについて

不動産コンサルティングマスターは、不動産コンサルティングができる資格として、不動産業界の中では知られていますが、一般的な知名度は高くありません。
ですが、不動産コンサルティングマスターを勉強していく過程で、相続についても学習するため、知識の基礎とすることが可能になります。

②行政書士について

行政書士は、遺言書作成、遺産分割協議書の作成、相続手続きを専門とする行政書士もいるように、相続専門の不動産会社とする場合には、相性が良い資格です。
不動産に関連する士業資格は、他にも司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士等がありますが、いずれも難易度が高すぎるためお勧めできません。
ただし、行政書士試験も難易度が低いといっているわけではなく、生半可な勉強で合格することはできない試験ですが、先の3つの資格よりは、いくぶん取りやすいので、チャレンジしても良いかもしれません。

以上のように、相続専門の不動産会社とするには、一生勉強をしつづけるという覚悟が必要になります。

ですが、いったん経営を軌道に乗せられれば、地域一番店として他の不動産業者とは一線を画す存在になれると思いますので、チャレンジしたいという方は、是非とも頑張ってみてください。

また、これから相続の知識を勉強して「相続専門の不動産会社」を起業しようと思う方は、相続に関する知識を解説したブログを作成していくことをお勧めします。

ブログは、書いていくこと自体が勉強になりますし、いずれ作成するホームページ用のコンテンツとしても使用が可能です。
また、ブログ記事を100記事、200記事と作成していく過程で文章力もアップしていきます。
ブログは、ほとんど費用がかからない上に、知識や文章力がアップするというメリットしかないともいえるものですので、まだ始めていない方は、早急に始めてみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

目次