不動産会社の経営(営業)と資格について②(司法書士、土地家屋調査士、行政書士、不動産鑑定士)

不動産会社で営業をするとき、又は経営に役立つ資格について考えてみます。
ちなみに資格に関しての記載は、すべて私の個人的な意見ですので、あくまでも参考として見ていただければと思います。

①司法書士
不動産の仲介会社にとっては、最も身近な士業が司法書士です。
ただし、この資格の取得には膨大な時間を要します。
また、何年も勉強に時間を投入したとしても結局に合格できずに挫折する人も多いので、不動産会社の営業社員や経営者が取得をしようとするのはあまり現実的ではありません。
また、不動産会社を経営していく上では、この資格を取れたとしてもせいぜい所有権移転登記等の費用(司法書士手数料)を浮かせられる程度のメリットしかありませんので、正直コスパはよくないと思います。
この資格の取得を目指すくらい時間があるのであれば、不動産業で集客や営業を頑張った方が確実に稼げます。
なお、最近は、不動産会社の営業社員が司法書士になるというのではなく、司法書士が不動産会社を経営するという流れもときどき見受けられます。

②土地家屋調査士
不動産の仲介会社にとっては、司法書士と並んで身近な士業となります。
司法書士よりは資格取得の難易度が低いので、目指したがる人は多い印象です(特に調査・契約部署のスタッフが目指す人が多い)。
ただし、司法書士よりかは難易度が低いと言っても、さすがに資格取得のハードルは高く、不動産会社に勤務しながら合格したという話はあまり聞きません。
また、取得したとしても不動産会社の中にいる場合、生かせる機会はほとんどないと思います。

③行政書士
行政書士は不動産会社にとっては、宅建免許申請の際に仕事を依頼する程度のつながりしかないところがほとんどです。
また、不動産会社によっては、宅建免許の更新申請も自社でやりますので、その場合、ほとんど会う機会はないでしょう。
ただし、この資格の知名度は高く、また、資格試験予備校でも「宅建士に合格したら、行政書士を目指しましょう」というようなことをよく言いますので、不動産業界でも取得している人にときどき会います。
ただし、不動産会社にいてもこの資格を活かしきるのは難しいので、相乗効果はあまり期待できません。

④不動産鑑定士
不動産金融の世界では、重要な役割を担う不動産鑑定士ですが、不動産流通業界ではあまり接する機会はありません。
また、難易度のわりに知名度も低く、コスパという面では悪いと言わざるを得ません。
最近はこの資格試験の受験者が減少傾向にあり、試験の難易度も下がってきていると聞きますが、それでも難易度が高い試験であることは間違いありませんので、この試験を目指す意味はあまり感じません。

このページでは、士業の資格を検討してみましたが、士業の資格は難易度が高く、どの資格を取得したとしても、不動産業よりは稼ぎにくいため、どうしても資格取得はお勧めできないという結論になってしまいます。
膨大な時間をかけて士業の資格を取得するくらいであれば、不動産業界に身を置くものは、純粋に不動産業の道を究める方が稼げると思います(しかも圧倒的に)。
また、各士業の仕事はどれも奥が深く、不動産業の片手間でできるほど甘いものではありません。
そのため、普段不動産業の仕事をしていて、その士業資格を自分で保有していなければ不自由を感じるというような「明確なメリット」がない限りは目指すことすらやめた方が良いと思います。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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