私のクライアントは、不動産業界で起業してこれから会社を発展させていきたいという方が多いです。
ですが、そのような独立希望者の中に「従業員を雇用すると自分のペースで仕事ができなくなる」ので、一人で(又は1名か2名程度のパート社員を雇用して)不動産会社を経営していきたいという方もいます。
今回は、そのような「一人で不動産会社を経営していきたい人」に向けた内容です。
一人で仕事をしていきたい人というのは、自分に「もしものこと」があったら、自社の存続はできなくなるということですので、自分一代限りの会社ということになるでしょう。
だからこそ、「気楽に仕事をしていける」のかというと、そんなことはありません。
確かに、従業員を抱えることによる人間関係や、固定費の増大というような金銭面のストレスは少ないでしょう。
ですが、それ以外のストレスを抱えることになります。
それ以外のストレスとは、例えば次のようなことを言います。
・自分の体調が悪化した場合、収入が途絶える。
・常に自分が動き続ける必要がある。
会社を組織化することのメリットの一つとして、ある程度の規模にまで会社を成長させた社長は、自分の体調が悪化して働けなくなったとしても、社員が代わりに働いてくれますので、収入が途絶える可能性は低くなります。
一方で、個人で経営している会社の社長は、自分が仕事をし続けなければ、収入が途絶えるという状況であることがほとんどです。
また、突然の事故や、突発的に倒れるというようなことがあった場合、その時に対応していたお客様に迷惑をかける可能性もあります。
その点についても、会社が組織化されていれば、後を引き継ぐ人がいますので、お客様にご迷惑をおかけする可能性は減少します。
なお、一人で仕事をしていきたいと考えている方の中には、従業員との人間関係に不安を覚えているという方もいます。
確かに、雇用した従業員が経営者である自分と合わない場合、人間関係がギクシャクしてしまい、経営者なのに会社に行きづらくなったという相談を受けたことがあります。
でもそれは、私のような外部の専門家と連携することで、問題の発生を抑えることができるかもしれませんし、もし仮に問題が発生したとしても解決しやすくなるでしょう。
そもそも、私のような外部の専門家は、原則として「社長の味方」ですので、メンタルを強く保つための一定の効果があります。
次に、常に「常に自分が動き続ける必要がある」という問題です。
不動産流通実務というのは、多岐にわたる法令等でがんじがらめになっていますので、これらの法令を追いかけていくだけでも大変です。
ですが、経営者となると法令だけを追いかけているというわけにも行きません。
「動き続ける」とは、具体的にどのようなことを指しているのかといいますと、次のような行動となります。
・集客
・営業
・法令改正等の学習
・経理
これらは、一つひとつが専門分野であり、一朝一夕で身につけられるものではありません。
したがって、個人で不動産業を経営をしていく専門家としては、前述の専門分野の中から、実務で使用する部分のみを「つまみ食い」のようにして身につけていくわけです。
ですが、「つまみ食い」の知識は、背景知識がありませんので、いつもと処理方法が異なるというだけでも、「処理方法が分からない」という問題に直面します。
結果として、分からないことを毎回調べなければならなくなりますので、業務の生産性は低下し、いつも忙しい割には全然儲からないという悪循環を招く可能性が出てきます。
なお、社長は全てを一人で処理しようとせずに、例えば経理はできるだけ外部に委託し、法令改正等の情報も私のような外部の専門家に任せることで、社長自身は、集客と営業に専念することができますので、収益性を高めることは可能です。
結局大事なことは「不動産業界で起業した社長自身が、どのように働きたいか(どのような人生を送りたいか)」ということになりますので、それぞれ社長の適性に合った方法で独立していけば良いです。
従業員を雇用しない方法であれ、従業員を増やして組織化する方法であれ、社長自身が一生懸命に取り組めば、会社をうまく運営していく方法は必ずあります。