不動産業界での社長の右腕人材。独立直後から育成を開始すべき

人材を育成するには、時間とお金がかかります。

まして社長の右腕となる「不動産の法令面の管理」をしてくれる人材は、営業職のように直接的にお金を稼ぐ仕事をするわけではありませんので、雇用と育成の優先順位が低くなるという気持ちも分かります。

ですが、将来的に会社を発展させたいのであれば、いつかはこの問題に取り組まなければなりません。
そして、その時期は早ければ早いほど良いです(起業前から考えておくのが理想)。

ですが、独立後のプランもあまり考えずに起業し、社員2~3人を雇用できる程度には、売上を上げられるようになったが、それ以上には発展しないという会社も不動産業界には多いです。

そのような状態では、なかなか不動産の調査・契約人材(社長の右腕)の候補者を雇用し、育てていく余裕がないのもうなずけます。

なお、社員が10名以下の会社の場合、まずは社員から、「どうしても(調査・契約業務の仕事を)やりたくないと言う人」を除く全員を対象にして、教育を開始すれば良いと思います。

そして、その中から最も適性がありそうな人材を選んで専業とさせればよいでしょう。

なお、その社員が「社長の右腕たる人材」として育ってくれる過程では、その社員自身も営業をしながら、他の営業社員の案件の調査、重説・売契作成、契約等の仕事を担当することになるかもしれません。

社長としては、それだけ仕事をさせるのですから、育ってくれた分だけその人を優遇していくのは当然の話です。
そうやって少しずつ確実に社長の右腕として育成していく必要があります。

不動産業界では営業社員は比較的早く育ちます。
場合によっては、入社2年目くらいでトップ営業になるという人も少なくありません。
ただし、会社のトップ営業と言っても「会社の集客力」があって初めて成り立つものであり、その営業社員に特別な能力があるということはほとんどの場合ありません。
実際、そのトップ営業が退職したとしても、新しい人が前トップ営業と同程度の売上を上げてトップなるはずですので、このことからも個人の力量はあまり大きく影響しないということはわかるでしょう。

そういう面から見ても、不動産業において営業社員は育てやすいということは明白なのです。

ですが、社長の右腕たる調査・契約人材は、営業のようにすぐには育ってくれません。
私の経験からいっても、通常の仕事を誰よりも頑張りつつ、自分のプライベートも削って一生懸命勉強するような人であれば「3年」で何とか一通りの仕事ができるようになる。
そして、いわゆるサラリーマンタイプの人のように、通常の仕事の仕方しかしない人であれば、その倍以上は育成に時間がかかるといった印象です(最悪の場合、一人前と言えるレベルにまで育たない)。

不動産業界においては、営業が花形職業で、調査・契約人材はバックオフィスのイチ従業員のように扱われることも多いのですが、その扱いが通用するのは大企業の中だけの話です。
そのような業界のイメージが社長自身にもある場合、社員にも社長のそのような考えが伝染し、本来は社長の右腕になりうる人材を「営業の使いっぱしり」のように扱ってしまうようなこともおこります。
これは本当にもったいないことで、このような会社では、社長が会社を発展させようと頑張ったとしても、せいぜい20~30名程度の社員数(社長一人で管理できる人数)で打ち止めになるでしょう。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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