ビジネスマンにとって数字に強くなるというのは、「会社の数字」に強くなるということになります。
ちなみに、不動産会社の社長は、サラリーマン時代は営業職だった人が大半です。
ですから、数字に強くなるといっても、具体的にどうすれば、会社の数字に強くなるのか分からないと思います。
そこで、今回は、不動産会社の社長が学ぶべき「数字」について説明していきます。
なお、社長の仕事として絶対的に必要なのは「売上を作る」ことであり、「売上を作るために組織を作る」ので、社長の学びとしては、まず売上を作るための勉強が最優先されることは間違いありません。
ですが、同時に「会社の経営状態を把握」するためには「数字」が分かる必要がありますので、売上を作るための勉強よりも少しだけ優先順位を落として、会社に関する数字の勉強もしていきましょう。
では、不動産会社の社長が「数字」を学ぶとなった場合、何から手をつけたらいいか。
それは、ズバリ「簿記」です。
簿記というと「聞いたことはある」という方が大半だとは思いますが、実際に勉強したことがない人にとっては、内容はイメージしにくいものだと思います。
念のため少しだけ説明しますと、簿記とは、会社の日々の売上や経費等を記帳して決算書類(貸借対照表・損益計算書等)を作成していくための技能のことです。
この決算書類が読めるようになれば、会社の経営状態が分かるようになるというわけです。
ただし、社長にはしてほしくないことがあります。
それは「簿記検定の資格取得を目指す」という行為です。
なぜなら、簿記検定の試験はあくまでも試験であり、たとえ合格したとしても「簿記の知識がある」ということが証明されるだけで「宅建士のような独占業務がある」というわけではないのです。
したがって、社長自身が簿記検定の「資格試験のための勉強をすること自体が時間のムダ」なのでやめましょう。
ではどうすればいいのか。
不動産会社の社長が簿記を学ぶ際に選ぶのは次のとおりです。
①日商簿記検定3級の内容を勉強する。
②日商簿記検定2級のうち商業簿記の内容だけを勉強する。
簿記検定2級には、「商業簿記」のほかに「工業簿記」もあります。
ですが、工業簿記は不動産業界では不要な知識あり、勉強すること自体が時間のムダになってしまいますので、社長が工業簿記を勉強するのはやめましょう。
前述のとおり、社長が簿記の勉強をする場合、「簿記3級と2級の商業簿記」のテキストと問題集を購入しますが、本を購入する際は、社長自身が本屋に行き「できるだけ見やすい本」であり、かつ、「できるだけ薄い本」を選ぶといいでしょう。
勉強も、やる気がある人は分厚い本を選びがちですが、挫折するリスクが高まるだけですので、やめた方が無難です。
社長がやるべきことは、あくまでも「自社の数字の概略をつかめる」ようになることであり、経理並みに簿記が分かる必要はありません。
また、分厚い本を一回頑張って終わらせるよりも「薄い本を何周もする」方が結果的に力が付きます。
薄い本の方が「本当に大事な部分だけにフォーカスされている」からです。
資格試験の合格を目指さず、実務だけで使う。
社長にはこれで十分です。
このようにして簿記の勉強をすれば、会社の数字の概略はつかめるようになります。その上で更に分からないことがあれば、顧問の税理士や会社の経理担当者に質問をしていきましょう。
簿記検定2級(商業簿記)までの知識があれば、全く簿記の知識を持たない社長と比べて、かなり的確な質問ができるはずです。
なお、一度勉強しても何年かすると忘れてきてしまったりするので、5年に一度くらいは勉強をし直すことをお勧めします。