【重説・売契】固定資産税・都市計画税等の清算について

不動産取引においては、慣習として、売買代金の決済日の「前日」で、売主に課されている固定資産税・都市計画税等の清算金を分けるということが行われています。

固都税等の清算は、法令等で定められたものではなく、不動産業界の慣習によって行われているものです。方法等については、あらかじめ取り決めておくことが重要です。

今回は、この固都税の清算の際の注意点について説明していきたいと思います。

①関東と関西では、清算の起算日が異なる。
②売主が消費税の課税事業者の場合には、買主に消費税が課税される。
③土地の上に建物が乗っているか否かで、税額が大きく異なってくる。

①関東と関西では、清算の起算日が異なる
固都税清算の起算日ですが、関東から東は「1月1日」、関東から西は「4月1日」ということが多いようです。
具体的にどこから変わるのかは知りませんが、経験上「長野県は1月1日」、「愛知県は4月1日」でしたので、そのあたりで変わるのかもしれません。

②売主が消費税の課税事業者の場合には、買主に消費税が課税される
売主が、消費税の課税事業者の場合には、固都税の清算金のうち建物の税額に消費税分を加えます。
固都税という税金の清算なのに、さらに消費税がかかるということに違和感を覚える方もいるかもしれませんが、買主からしてみると、この固都税清算は、税金そのものを支払うというものではなく、売主に課税された税負担を買主が一部負担するという「利益調整のための金銭の授受」ということで、消費税の課税対象ということになります。
なお、課税されるのは建物のみであり、土地については課税されません。土地は消費税の課税対象ではないためです。

③土地の上に建物が乗っているか否かで、税額が大きく異なってくる
どのような目的で不動産(土地・建物)を取得するかによりますが、土地上建物を取り壊して、新たに建物を建てるような場合で、固都税の清算で損をしたくない方は、固都税額に気を付ける必要があります。
まず、第一の注意点は、建物を取り壊して更地になった時点です。
建物が更地になったときが12月までで、引渡しが3月までだった場合には、固都税の課税が「更地」の価格となるため税額が大幅に上がります。
それに気づかずに土地上建物の取壊し前の土地の税額で清算してしまうと、売主側が支払う税額が多くなります。
このようなことは、売主が新築を建てて売却する場合にも注意が必要になります。

きっちりと固都税清算を行いたい場合は、決済は終わらせてしい、固都税清算のみは税額が確定してから(4月以降)に行うという方法も検討しても良いかもしれません。
この場合は、売主自身が清算を忘れないようにすることや、買主にも覚えておいてもらう必要があります。

この固定資産税、都市計画税等の清算は、法令等で清算しなければならないと定められたものではなく、あくまでも不動産取引の慣習で行われているものです。
ですので、どのような方法を選択しても構いませんし、極端なことを言えば清算しなくても構わないのですが、特に取決めがないのであれば、慣習どおりに清算をすれば良いと思います。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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