不動産物件調査担当者に求められる3つの能力

不動産物件調査担当者には3つの能力が求められます。
その能力とは次のとおりです。

①調査能力
②書類作成能力
③営業力

①調査能力について

不動産物件調査は、現地調査や役所調査といった外出しての調査が必要になります。
特に現地調査では、作業着を着て現地に行きます。
そして、調査対象物件を計測し、穴を掘り、桝を開け、写真を撮影する等の作業をする必要があります。

②書類作成能力について

物件調査担当者の多くが、重説・売契、合意書等の作成も担っています。
当然のことですが、契約書等は法的な文書ですので、誤って作成することは許されません。
作成には、高度な法律知識と日本語力が必要になります。

③営業力について

営業力とは意外に感じるかもしれませんが、調査担当者にも営業力が必要になるというケースは多いです。
例えば、合意書を取得する場面では、相手は不動産についての知識は乏しいわけですから、書類についてしっかりと説明ができなければ署名押印をいただくことは困難です。

また、調査担当者というのは、社内で営業から調査を依頼されて初めて動くという受け身の立場であることが多いのですが、営業担当者任せにしていると、月末に調査が集中することは目に見えています。
そのため、自分のスケジュールを適正に管理するためにも、積極性を発揮して、無理のないスケジュールを作って行く必要があります。
これらも、ある種の営業力と言えるでしょう。

このように不動産物件調査担当者には、上記の3つの能力が求められるわけですが、私はこれらの能力を次のように分類しています。

①調査能力:土地家屋調査士的な能力
②書類作成能力:行政書士的な能力
③営業力:不動産営業担当者(経営者)的な能力

これらの3つの能力のちょうど中間に不動産の物件調査担当者はいるわけです。

では、なぜ私はわざわざ上記のように3つの能力を分類しているのか。

それは、不動産の調査担当者も、いつまでも3つの能力の中間にいるだけでは、年齢の上昇とともに食べていけなくなるので、いずれは3つのうちどこかの能力を伸ばしていき、独自の強みを作って行かなければならないということを言うためです。

3つの能力の中間に位置し、その能力を高めていく(三角錐を高くするイメージ)のも良いのですが、ある程度調査担当者としてレベルが上がってきたら、今度は3つの能力のうち、自分の得意とする部分を決めて伸ばしていくと良いです。

特に、東京都や神奈川県の大都市圏であれば、不動産物件調査としての求人がまだあるため、調査担当者として食べていくことが可能かもしれません。
ですが、地方では不動産の物件担当者という求人自体がほぼありませんから、やはりある程度調査実務を身に付けたら、自分の適性に合った部分を伸ばしていく必要があるわけです。

ちなみに、今まで不動産の調査担当者をたくさん育成してきた私の印象ですが、物件調査を職業として選ぶ人は、不動産業界に身を置きつつも営業は苦手という人が多い傾向にあります。

そのため、3つの能力のうち、営業力を伸ばすという方向に行く人は最も少なく、一番の多いのが、①の土地家屋調査士を志すという人で、次に②の行政書士を志すという順番です。
ちなみに、行政書士でなくても、司法書士や弁護士などでも良いのですが、そもそも難易度が高すぎるからか、今まで私が指導してきた調査担当者にはこれらの資格者を目指すという人は一人もいませんでした。

最後に③ですが、不動産物件調査担当者として、高度な不動産知識を手に入れた上で営業にシフトすれば、かなり営業も楽になるのではないかと思いますし、さらに発展すれば、独立して経営者となる道も開けます。
営業にシフトする場合は、営業の勉強が必要であり、その場合資格試験のような特別な勉強は必要ありません。ですが、あえて何らかの勉強を勧めるとするのであれば、英語がお勧めです。

日本人の中では、英語ができるというだけで、とても目立つことができます。

なお、社会人がイチから英語の勉強をするのであれば、TOEICからスタートするのがお勧めです。

TOEICで800点を取得し、そのあとで英会話の学習をするという順番が、社会人の英語学習では最も効率が良いです。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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