不動産会社の社長が抱く悩みについて

まだ創業数年程度の若い不動産会社の社長とお話しをさせていただく機会が多いのですが、共通点があるような気がします。
なお、その共通点とは、大きく分けると次の3つに分類できます。

①自分の右腕となる社員が育たない。
②将来的にも現在の事業で大丈夫か不安。
③お金の流れが良くわからず積極的な投資ができない。

事業は「ヒト・モノ・カネ」などとよく言われますが、まさにこの3点に集約されるのだと話を聞いていて思います。

①自分の右腕となる社員が育たない

自分(社長)の右腕となる社員を育てようと思っても、それを育てるのは容易ではありません。
自分の右腕となってくれる社員を育てたいと一生懸命指導しようとするが、数か月から数年で退職してしまうということを繰り返してしまうパターンが多いです。
ただ、社長の話を聞いていると、そもそも社長自身が自分の欲している右腕像が明確でないことがあります。
社長はまず初めに自分が欲しい右腕像を明確にし、その育成ステップまでしっかりと立てておく必要があるでしょう。
とはいえ、そもそも社長の右腕となる社員のいない会社では、社長自身の仕事が一番が忙しくなってしまうため、右腕の育成などほぼ無理だという状況にあるのが普通だと思います。
求人に対する応募者、数人から十数人の中で、多少見込みがありそうな社員を採用できたとしても、自分自身が忙しすぎてじっくりと育成する時間など取れません。
そうこうしているうちに退職してしまうということを繰り返します。
多少育った社員も辞めてしまえばそれまでで、またイチから育成のし直しとなり、その状態を何年も繰り返すこともざらにあります。

②将来的にも現在の事業で大丈夫か不安

現在の事業が将来的に続けられるか不安だという悩みは、多くの社長から聞くことができます。
そのため、社長は新たに収益の柱となる事業を探し続けるわけですが、「①自分の右腕となる社員が育たない」でも述べたように自分の仕事が忙しく、次の事業を創出するなど不可能だという状況を数年にわたって繰り返すことが多いようです。
次の事業を創出したり、現在の事業を大きく発展させるには、社長自身かその右腕となるエース級の社員が「がっつりと時間と労力を投入して取り組む」必要がありますが、右腕となる社員がいない会社では、社長自身が忙しすぎるため、現実的に不可能でしょう。

③お金の流れが良くわからず積極的な投資ができない

お金については、簿記(日商簿記検定3級と2級の商業簿記)を学ぶのが一番手っ取り早いのです。
ですが、そもそも不動産会社の社長は、会社員時代に「営業で結果を出してきた人」が多いので、簿記を学ぶといってもなかなか適正が合わず難しいようです。
そのため、自分の会社にいくらのお金があるのかも良くわかっておらず、積極的な投資がなかなかできないため、漠然とお金の不安にとらわれたままという状態が続くということがあるようです。

以上が不動産会社の社長が感じている不安の上位3点だと思います。
話を聞いていて思うのは、結局自分の右腕となる社員が育たないということが大きな原因になっているのではないかということです。
自分の右腕となる社員を育てることができれば、社長自身の時間を確保できますので、さらに幹部社員の育成に時間を使うこともできますし、将来ための事業創出にも取り組むこともできますし、お金のことについて最低限の知識を得て税理士等と詳細な打ち合わせをすることも可能になります。

ただし、設立後間もない不動産会社に入社してくる社員は不動産業界未経験者か、又は業界経験は長いものの転職を繰り返しており、幹部社員としての経験がない中高年の社員となることが多いようです。
後者のタイプは、面倒なことが起こると簡単に会社を辞めるため、もはや社長の右腕となる資質を欠いていると思われます。
したがって、結論としては業界未経験者であったとしても若手の社員をじっくりと、しかしながらできるだけ最短距離で育てていく必要があります。

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この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

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