物件に高低差がある場合の調査上の注意点について

物件に高低差がある場合、注意すべき項目が増えますので、その点について説明していきます。

高低差がある場合に注意しなければならないポイントは、主に次の項目です。

①擁壁(土留め)に問題(亀裂、はらみ、二段擁壁等)はなさそうか。
②地盤に問題(地割れ、不同沈下等)はなさそうか。
③がけ条例が適用になるか。
④工作物の建築確認が必要な擁壁等の場合、建築確認を取得しているか。
⑤接道の要件は満たされているか。

①擁壁(土留め)に問題(亀裂、はらみ、二段擁壁等)はなさそうかについて
高低差がある場合にまず気をつけることは調査対象物件の安全性です。
現地調査の時点で、擁壁に問題(亀裂、はらみ、二段擁壁等)がないかを確認するとともに、亀裂等があった場合には、どの程度の亀裂なのかなどをしっかりと記録しましょう。
なお、問題を発見した場合には、どのように対処をすれば安全性が保てるかの検討もつけておきましょう。

②地盤に問題(地割れ、不同沈下等)はなさそうかについて
高低差がある場合には、地盤に問題が生じるリスクが高まります。
地盤の問題とは、地割れが発生したり、不同沈下が生じる等があげられます。
実際に地面が割れている場合や、建物に大きな亀裂が入っている場合には、地盤に問題がないかの疑いをもって調査を進める必要があるでしょう。
また、土間コンクリートに大きな損傷があるような場合、その下が沈下等により空洞になっている場合があります。
これらの問題を発見したら、その対処方法についても検討しておく必要があります。

③がけ条例が適用になるかについて
がけ条例は、各行政によって適用となる高さが異なるため、初めて調査する県の場合は、適用となる高さについて調べておく必要があります(高低差2m以上の場所が多いですが、3mや5mなどという県もあります)。
がけ条例が適用なる場合、既存の擁壁等の状態を見て、どのような対処が必要になるかを検討しておく必要があります。

④工作物の建築確認が必要な擁壁等の場合、建築確認を取得しているかについて
既存の擁壁がある場合、どのような経緯で築造されたものであるかについて役所で確認をする必要があります。
高低差が2m以上ある場合は、建築確認を取得して築造されたものか、又は開発等により築造されたものなのかを確認します。
しっかりと法律に則って築造された擁壁であることが確認できたとしても、築造時期が古いものだと現在も安全であるということはできませんが、安心材料の一つではあります。

⑤接道の要件は満たされているかについて
高低差がある場合の安全性とは、話がズレてしまいますが、大事なことなので説明します。
接面道路と調査対象物件との間に大きな高低差があり、擁壁が築造されているような場合、公図上は道路と物件が接していたとしても、現状道路との行き来は不可能なので、建築基準法上の接道要件を満たさないということが起こる可能性があります。
そのような場合、行政によって、擁壁に75cm以上の幅のスロープを設ける等により接道とみなされるということがあります。
調査対象物件と接面道路との間に高低差がある場合には、まず「接道の要件を満たすのか」の確認をし、満たさないとなった場合には「どのようにすれば接道の要件を満たすのか」を確認することが重要です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

・略歴:会社員時代、調査・契約部門のトップを6年間にわたって務め、直接かかわった売買は5,000件以上です。また、調査・契約の専門職員や営業社員を全国で100名以上育成しています。
・保有資格:宅建士、行政書士、簿記、FP、TOEIC等

目次